抗がん剤を初めて投与してから、個人差はありますが、1~3週間後くらいから脱毛が始まります。脱毛は頭髪だけでなく、まつげ・眉毛も同様です。治療が進むと、体調面でも変化があらわれることが予想されますので、化学療法が始まる前に用意できると安心ですね。
医療用ウィッグは、既製品は比較的安価で手に入れやすいですが、オーダー品は高価で納品までに時間のかかるものもあります。治療計画や生活スタイルによっては、あわてて購入しなくてもよい場合もあります。ウィッグは使用せず帽子だけの方、いくつかのウィッグを日替わりで使う方、オーダーメイドで今までのヘアスタイルを維持する方などさまざまです。予算や品質・スタイルに納得できるものを選んで欲しいです。
また、医療用ウィッグ等の助成金がある自治体もあります。先ずは、お住まいの自治体ホームページをチェックしてみましょう。
ヘアスタイルが長い場合や毛量の多い方は、脱毛が始まる前に一度ヘアカットしておくと良いですね。治療が進むと洗髪時や枕の摩擦などで脱毛が気になってきます。その時に思い切ってショートヘアにしても良いでしょう。使い捨てヘアキャップなどの便利アイテムもあります。
通い慣れた理美容室があれば、カットやウィッグについて相談されてはいかがでしょうか。福祉やウィッグの講習を受けている理美容師さんも多くなってきています。力になってくれるかもしれません。ウィッグ専門店では、ヘアカットをしているところもあります。
医療用ウィッグはショートヘアの方が取り扱いが楽なので、ウィッグに近いヘアスタイルにしておくのもひとつの方法です。
長い髪をカットする予定のある方は、ヘアドネーションとして髪の寄付はいかがでしょうか。寄付された髪でこども用の医療用ウィッグを作り、頭髪で悩むこどもたちへ無償で提供している活動団体があります。
医療用ウィッグ・おしゃれウィッグ・部分ウィッグなど、最近はウィッグも手に入れやすくなりました。
既製品・セミオーダー・フルオーダーウィッグがありますが、大きな違いを上げるとしたら値段かもしれません。衣料品と同じく、デザインやサイズを細かく指定できるフルオーダーはどうしても高くなりますが、希望通りの仕上がりに満足度も高くなるでしょう。
しかし、既製品であったとしても、調整ができれば付け心地もスタイルも、ぐっと良くなります。治療費もかかるのに、ウィッグまで用意するのは難しいとあきらめていたとしたら、安い既製品に手を加えてみる方法もあります。通っている理美容室で相談したら、カットしてくれたという話も聞いたことがあります。
私どもの相談会でも、ご持参いただいた際はカットできますので、ご相談ください。(理美容師がいる時に限ります)
また、お住まいの市町村で助成金事業を行っていることもありますので、チェックしてみましょう。
おしゃれウィッグとの違いは、毛髪のボリュームです。実際に既製品の医療用ウィッグを見てみると毛の量に驚きます。
脱毛した状態でおしゃれウィッグをつけると、ボリュームが足りないこともありますので、既製品を購入する時には注意が必要です。
また、髪がはえてきてウィッグの毛量が多く感じてきたら、カット調整してボリュームダウンすることもできます。初めは毛量の多いものを用意するのが良いでしょう。
医療用ウィッグは、アンダーキャップ(インナーキャップ)を付けて装着するものがあります。アンダーキャップだけを交換すれば、ウィッグを洗う頻度を少なくすることができるという利点があります。汗をかいてもアンダーキャップを洗濯すればスッキリです。
既製品の医療用ウィッグに、JIS製品規格適合M.Wigマークが付いていたら安心です。ホームページ
ウィッグの材質は、人毛・合成繊維・人毛と合成繊維のミックス毛の3パターンです。
1.人毛は、やはり質感が自然です。パーマやカラーもできます。
2.合成繊維は、軽くてカールが取れにくくスタイルキープが楽です。
3.ミックス毛は、人毛と合成繊維の良いところを備えています。
おすすめはミックス毛ですが、合成繊維は商品開発が進み、自然な質感なものもあります。手に取って見ることができるお店で確認できると良いですね。
ドライヤーやアイロンを使用できるウィッグもあります。
また、ロングよりショートスタイルの方が、取り扱いや手入れがしやすいといった利点があります。冬場は、どのスタイルでも静電気が起こりやすく、カールが取れたり、毛が縮れたりすることがあります。購入したところに相談すると、修理可能な場合があります。
ウィッグを毎日使っている場合は、1週間おきくらいに洗いたいですね。ほこりや汗を洗い流しましょう。
1.洗う前にブラッシングして、絡まりをときましょう。
2.シャンプーを水に溶き、優しく洗います。
3.溜めすすぎをします。水を数回入れ替えます。
4.コンディショナーを水に溶き浸します。
5.タオルで包み、水気を取ります。
6.ウィッグを軽く振って形を整えて、自然乾燥します。陰干しです。
購入したウィッグのメーカーによって洗い方が違う場合があります。
また、人毛100%のウィッグは扱いが難しい場合があります。購入されたメーカーのお手入れ方法を確認してください。
ウィッグをつける時に、ブラッシングしてからが良いですよとお勧めしているのですが、ウィッグ用ブラシをぜひ使っていただきたいです。
静電気防止のブラシで、多くのものは突起の部分がステンレスなどの金属でできています。ほどよい隙間で植えられており、とてもブラッシングがしやすく、毎日使うウィッグには欠かせないアイテムだと思います。高いものでなくてもOKです。100円ショップでも見かけることがあります。
ウィッグをブラッシングすると、ほこりも取れますし、根元から立ち上げるようにとかすことで、ぐっと自然に、おしゃれになります。
また、ウィッグは静電気で縮れたり切れたりします。劣化防止のためにも専用のブラシの使用をおすすめします。
ウィッグを洗う際、普段使っているシャンプーでも良いですか?と聞かれることがあります。人毛100%の場合は良いかもしれませんが、合成繊維や人毛ミックスタイプのウィッグの場合は、ウィッグ専用のシャンプーで、お湯を使わないようにお伝えしています。
感覚としては洗濯をするイメージです。髪に良い成分は必要ありません。しっかりと汚れを落としたくても、ゴシゴシ洗いは厳禁です。水でしっかりすすぎ、絡まりや静電気防止の柔軟剤の役割をするウィッグ用コンディショナーを使います。タオルではさんで水分を取り、形を整え陰干しです。
お湯を使うと汚れがしっかり落ちそうですが、熱でカールが取れてしまうことがありますので、最後まで水をお使いください。
がん治療を経験した美容師さんに聞いてみました。
脱毛時でも皮脂分泌はあるので、今まで使用していたシャンプーが肌に合っていれば、分量を少なくして使用します。毎日でなくても良く、様子を見て調整してください。
肌に合わなければ、敏感肌用シャンプー(せっけん系ではなく、弱酸性のアミノ酸系がおすすめ)を。ボディソープや洗顔用では脱脂力が強い場合があるので気をつけてください。
頭皮に異常を感じたら、早めに医師にご相談ください。
肌が敏感になっている場合もありますが、基本的には使い慣れているものが良いです。合わないと感じたら敏感肌用のものを。
化粧品コーナーでたくさんのスキンケア化粧品を勧められる場合もありますが、いっぺんに変えてしまうと何が肌に合わなかったのか確認できないので、ひとつずつ試してみることをおすすめします。
においに敏感になることもありますので、香料にも注意が必要です。
特定非営利活動法人 日本健康美容協会
〒370-0004 群馬県高崎市井野町天水1016-1
TEL: 027-370-5054 (医療用ウィッグ相談会専用)